BRAND STORY

2026.08.09

「掛けたい老眼鏡がない」——父の一言から生まれた、“浮く”ように軽い老眼鏡

FLOAT — 鯖江発、まるで“浮いた”ような掛け心地のリーディンググラス

老眼鏡に、もっとワクワクしてもいい。福井県鯖江市発の FLOAT は、「まるで浮いたような掛け心地」を掲げ、リーディンググラスの常識を静かに塗り替えてきた。

その始まりは、ひとつの素朴な気づきだった。今回、その誕生から現在までの歩みを、つくり手ご自身の言
葉とともに紹介する。

「掛けたい老眼鏡がない」——2013 年の気づき

FLOAT の企画は 2013 年、身近な父親の「掛けたい老眼鏡がない」という一言から始まった。
重い、痛い、似合わない、すぐ失くす——老眼鏡にまつわる小さな不満を、ひとつずつ解いていくこと。それが FLOAT のものづくりの原点になっている。

「FLOAT の開発は、ある日、父との何気ない会話から始まりました。人一倍おしゃれに気を使う父が、お世辞にも格好いいとは言えない老眼鏡を掛けている姿を見て、私は『なんでそんな眼鏡を掛けているの?』と聞きました。

すると父は一言、『いいのがないんだ』と答えたのです。
弊社はもともとファッションサングラスを手掛ける会社で、私は二代目として事業に携わっていました。
当時の私はまだ老眼鏡を必要としない年代でしたが、少子高齢化が進むこれからの時代を考えたとき、『ファッション』と『老眼鏡』を融合できれば、これまでにない面白い商品が生まれるのではないかと考えました。

そのアイデアを父に話すと、返ってきた言葉は『やってみろ。』の一言。振り返ってみると、父自身が本当に欲しい老眼鏡を待ち望んでいたのかもしれません(笑)。こうして、FLOAT プロジェクトはスタートしました。ちょうどその頃、『製品開発のヒントは身近なところにあり、身近な人の困りごとに目を向けることが開発の第一歩である』という内容の本を読んでいました。だからこそ、自然と父の様子を観察していたのかもしれません(笑)。
FLOAT は、そんな身近な気づきから生まれたブランドです」

失くさない × 疲れない × 愛着が持てる

FLOAT が追求したのは、「失くさない」「疲れない」「愛着が持てる」という 3 つの価値だ。
首掛けでホールドできる構造で失くしにくく、クリアな視界で目が疲れにくい。そして着せ替えによって、長く愛着を持って使える。この 3 つに行き着いた理由を、つくり手はこう語る。

「老眼鏡に求められる機能を洗い出し、一つ一つ解決していったらこの 3 つにたどり着きました。どんなことに困っているか、どんな眼鏡なら掛けてくれるか、老眼鏡はすぐに失くすと言うがそれはなぜなのか、最終的には道具に愛着を持ってもらうことが紛失を軽減する一番の方法だと考えつきました」

締め付けずに支える——ヒンジレス樹脂テンプルと首掛けホールド

それを支えるのが、独自の「ヒンジレス樹脂テンプル」と、日本人の骨格に合わせた人間工学に基づく立体デザイン。締め付けがないのに激しい動きでもズレにくく、長時間掛けても痛くならない。
この構造がどのように生まれたのか、つくり手に聞いた。

「多くの老眼鏡ユーザーは、それまで視力が良く、日常的に眼鏡を掛ける習慣がありません。そのため、眼鏡に慣れておらず、『煩わしい』と感じる方が少なくないことに着目しました。そこで、いかに眼鏡を負担なく快適に掛けられるかを開発のテーマとしました。
眼鏡を掛けた際の『重い』『痛い』といった違和感をできる限り軽減するために採用したのが、FLOAT 独自のヒンジレステンプルです。金属と同等の耐久性を持つ特殊樹脂を使用することで、まるで浮いているような軽い掛け心地を実現しました。もう一つ注目したのは、老眼鏡は近くを見るときだけ使用するため、掛け外しの回数が多いという点です。その結果、置き忘れや紛失につながりやすいという課題がありました。眼鏡を外した際、多くの方は一時的な置き場所として頭の上に載せます。しかし、レンズが汚れたり、ヘアスタイルが崩れたり、フォーマルな場面ではふさわしくなかったりと、さまざまな問題があります。
そこで FLOAT は、頭とほぼ同じ感覚で使える『首に掛ける』という発想にたどり着きました。このアイデアを実現するため、テンプルを思い切って長く設計しています。首に掛けられることで紛失を防ぎやすくなるだけでなく、長いテンプルによって締め付ける力が分散され、掛け心地もさらに向上しました。

FLOAT 独自のヒンジレス樹脂テンプルは、多くのお客様から『とても軽く、掛け心地が良い』と高い評価をいただいています」

この“三拍子”が評価され、FLOAT は 2016 年度のグッドデザイン賞を受賞している。

「着せ替え」という発想

老眼鏡に対するネガティブなイメージを変えたい——その思いから生まれたのが、テンプルを豊富なカラーバリエーションで展開する「着せ替え」の仕様だ。この発想に込めた思いを、つくり手はこう明かす。

「『老眼鏡=ダサい=掛けたくない』。そんなネガティブなイメージを、どうすればポジティブに変えられるだろうか。私たちはそこから考え始めました。誰にでも、自分の好きな色があります。そこで、テンプルを豊富なカラーバリエーションで展開し、好みに合わせて着せ替えられる仕様を採用しました。
自分だけのお気に入りの一本をつくることができれば、老眼鏡は単なる眼鏡ではなく、愛着の湧く道具へと変わっていきます。

そして、大切に使いたいという気持ちが生まれれば、置き忘れや紛失も自然と減っていくのではないか。
そんな想いと期待を込めて、FLOAT の着せ替え機能は生まれました。
老眼鏡を『仕方なく掛けるもの』ではなく、『自分らしく楽しめるもの』へ。それが、FLOAT の目指す新しい老眼鏡のかたちです。

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