BRAND STORY
メガネ素材で、つくる。楽しくてカワイイ、福井のアクセサリー
2026.10.22
CRAFT
2026.08.07
F glasses — 鯖江発、アウトドアから生まれた「アクティブクラシック」
見た目は、どこにでもなじむクラシックな眼鏡。けれど掛けた瞬間、その軽さと、動いても
ズレない安心感に驚く——。福井県鯖江市で 2020 年に生まれた『F』OUTDOOR GLASSES は、つくり手自身のアウトドアでの実体験から発想された、新しい眼鏡のかたちだ。今回、その設計思想をつくり手ご自身の言葉とともに紹介する。

『F』の構想は、つくり手自身の登山体験から始まった。数年前から山に登るようになった中で気づいた
「アウトドアに必要な機能」を、そのまま「求められるデザイン」へと翻訳していったという。
「自分自身が山に登るようになり、登山において一定数のメガネユーザーがいることに気付きました。
運動をする際、メガネがズレたり、汗を大量にかくのでコンタクトにする方が多いのですが、
ドライアイが原因だったり、テント泊をする際のコンタクトケアが面倒だったりと、
メガネ派のハイカーが意外に多い事がわかりました」
着目したのは「軽さ」と「扱いやすさ」。行動中の負担を減らすことは、気持ちまで軽やかにしてくれる——。
自身と一体化するような眼鏡をつくりたい、という思いが、ブランドの出発点になっている。

『F』の象徴が、大きくカーブした「オリジナルロングカーブテンプル」だ。
痛みを感じやすいこめかみや側頭部を避け、後頭部で眼鏡を支える構造になっている。
側頭を挟む力(側圧)が軽減されることで、軽く柔らかな掛け心地が生まれる。
「登山をする際、足元を確認することがよくあります。この時に多くのメガネはズレやすかったりします。いちいちメガネを元に戻すのが面倒なのです。逆にズレない場合は側圧が強かったり、耳に掛ける部分での固定が強く、皮膚の摩擦が痛みに繋がると言う問題が起こります。その問題を解決するために考えたのがロングカーブテンプルです。
またメガネ自体が軽いことはズレにくくすることに直接繋がるため、軽量化にも力を入れました」
形状はあえてストレート型を採用。掛け外しがスムーズにでき、ヘルメット(登山用)が必要な環境でも干渉しにくい。この独自構造は意匠登録(第 1676855 号)されており、見た目のクラシックさの内側に、確かな機能が隠されている。

『F』が掲げるのは「クラシックスタイル × アクティブシステム」。
外から見れば掛けやすいクラシックなデザインでありながら、内側にはアクティブな動きに追随する機能を内包する。日常使いからアウトドアまで、ひとつのフレームで対応できる「アクティブクラシックデザイン」だ。
テンプル内側やノーズには、雨や汗で滑りにくいラバロン™素材のパッドを配置。表側からは滑り止めが見えないよう設計され、ビジネスシーンでもフォーマルな印象を保つ。さらにこのパッドは接着剤を使わず固定する構造になっている。この細部のこだわりについて、つくり手はこう語る。
「滑らない素材としてシリコンがよくあげられますが、シリコンは吸水性があり、長年の使用で粘りが出てきてしまったりします。あえてラバロンにすることでそのような劣化を防いでいます」
「接着剤での固定は、メガネに限らず色んなプロダクトにおいて海外ブランドでよく見る方法です。それは長期の使用を無視した方法だと思います。長く使えること、交換が可能なことを製品に反映できないか考え抜いた構造になっています」
接着剤に頼らないことで、パッドの交換が可能になり、経年劣化による脱落も防げる。
細部にまで、長く使うための工夫が宿っている。
『F』は、その製造のすべてを鯖江で行っている。この土地でつくり続ける理由を、つくり手はこう明かす。
「私は先代の父から輸入商社の会社を引き継ぎました。鯖江で生まれ育った身として、鯖江で製品づくりがしたいと以前から考えており、それが実現できたのがFになります。鯖江で眼鏡を作ることで、地元に僅かでも貢献できるのではないかと思っています」
「他にはない機能性を持った製品を作りたいと考えています。競業他社と似たような製品を作っても市場を邪魔するだけで意味がないと私は考えています。ブランド同士で切磋琢磨するような活気ある鯖江の製品づくりをしてきた先人たちに憧れを持っています」
山での気づきから生まれた「軽さ」の追求は、意匠登録された独自構造や、素材・接着方法にまで及ぶ細部のこだわりへとつながっている。クラシックな佇まいの奥に息づくのは、つくり手が鯖江の地で培ってきたものづくりへの誠実さだ。
『F』は、日常とアウトドアの境界を軽やかに越えていく。