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2026.11.04
金治郎に学ぶ、眼鏡素材の奥深い世界
プラスチック素材の眼鏡フレーム、と一口に言っても、その中身はさまざまだ。
なかでも知っておきたいのが、「セルロイド」と「アセテート」の違い。
見た目は似ていても、生まれも、質感も、作り方も大きく異なる。
希少なセルロイドにこだわる「金治郎」を手がかりに、眼鏡素材の奥深い世界を覗いてみよう。

現在、プラスチック系の眼鏡フレームで最も多く使われているのが、アセテート(セルロースアセテート)だ。
植物由来で、発色がよく、加工がしやすい。安定して大量に作れるため、世界中の多くのブランドが採用している。扱いやすく、品質も安定している——アセテートが主流になったのには、こうした合理的な理由がある。
今あるフレームの多くは、このアセテート製だと考えてよい。
一方、セルロイドは、アセテートが普及する前の時代に、眼鏡素材の主役だった。
最大の魅力は、その独特の艶。深く、濡れたような光沢は、セルロイドならではの表情だ。
年月を経るほどに味わいを増す経年変化も、愛好家を惹きつけてきた。
ただし、セルロイドは加工に高度な技術と手間を要し、扱いも難しい。
だからこそ希少であり、今もセルロイドを手がける眼鏡は「本物を知る人のための素材」とされている。
金治郎は、あえてその希少なセルロイドを主役に据えている。
しかも、8ミリ厚の生地を1ヶ月に1ミリずつ積み重ね、完成まで約8ヶ月をかけるという、徹底した仕立て方だ。
この緩やかな積層こそが、深みのある艶と上質な質感を生む。
さらに、飾り部分には10Kの鋲を採用。色剥がれを防ぎ、長く美しさを保つ工夫だ。
手間を惜しまないものづくりが、セルロイドという素材の魅力を最大限に引き出している。
金治郎のものづくりから学べる、素材を起点にした眼鏡選びの視点を3つ挙げてみよう。
1つ目は、艶と表情。深く濡れたような艶に惹かれるなら、セルロイドのような素材が候補になる。
光に当てたときの奥行きを、実際に見比べてみたい。
2つ目は、経年変化との付き合い方。使い込むほどに味が出る素材は、手をかけて長く愛用したい人に向く。
育てる楽しみがあるかどうかも、選ぶ基準になる。
3つ目は、ディテールの作り。鋲や金具に、装飾だけでなく機能(色剥がれ防止など)の意味があるか。
細部に意味を込めているフレームは、全体の作りも信頼できる。
同じ「プラスチックの眼鏡」でも、セルロイドとアセテートでは、生まれも質感もまるで違う。
素材の違いを知ると、眼鏡選びは一気に奥行きを増す。
金治郎が手がける希少なセルロイドは、時間と手間をかけてしか生まれない、特別な艶を宿している。
次にフレームを手に取るときは、ぜひ「これは何の素材だろう」と意識してみてほしい。
きっと、選ぶ楽しさが変わるはずだ。