BRAND STORY

2026.11.04

鯖江の職人が、「静けさ」に込めた技。クラシックを極めた一本の理由

丹羽雅彦(ニワ マサヒコ)— 鯖江の伝統を受け継ぐ眼鏡職人の、静謐なる名品

眼鏡のデザインは、足し算で華やかにすることもできれば、引き算で品を高めることもできる。

「丹羽雅彦」が選んだのは、後者だ。鯖江の伝統を受け継ぐ眼鏡職人・丹羽雅彦の名を冠したこのブランドは、声高に主張しない。
磨き上げた技と審美眼を、静かな佇まいと、かけたときの心地よさへと昇華させる
——クラシックを極めた、静謐(せいひつ)なる名品である。

鯖江という、土壌

丹羽雅彦が拠点を置くのは、福井県鯖江市河和田。

100年以上にわたって眼鏡づくりを続けてきた、日本有数の
——そして世界的にも名高い——眼鏡産地だ。

金属加工から、アセテートの削り出し、研磨、組み立てまで、あらゆる工程の専門職人が、この小さな町に集まっている。
一本の眼鏡が完成するまでには、いくつもの手と技が関わる。
「丹羽雅彦」は、その鯖江の伝統を受け継ぐブランドだ。
土地に根づいた技術と知見が、ものづくりの確かな土台になっている。

「静謐」という、選択

このブランドを貫くキーワードが、『静謐』だ。

派手な装飾や奇抜なフォルムで目を引くのではなく、静かに品格を放つことを選んでいる。
流行は、移ろう。

しかし、本物のクラシックは時代を超えて愛され続ける。
丹羽雅彦が目指すのは、まさにその普遍性だ。

そして特筆すべきは、その美意識が見た目だけにとどまらないこと。
磨き上げられた技と審美眼は、かけ心地にまで昇華されている。美しいだけでなく、心地よい。

その両立こそが、丹羽雅彦の約束である。

一山という、難しさ

丹羽雅彦を語るうえで欠かせないのが、『一山ブリッヂ』のモデルだ。

一山とは、左右のレンズを鼻の上で一つの山型のブリッジでつなぐ、クラシックな構造のこと。
鼻パッドのアームが無い分、すっきりと端正な表情が生まれ、知的な余韻を漂わせる。

だが、この美しさは簡単には手に入らない。
一山は、構造的にフレームが反り返る『逆反り』という課題を抱えやすく、見た目の繊細さと、長く使える安定性を両立させるには、設計と技術の裏打ちが不可欠なのだ。

丹羽雅彦は、この難しさに正面から向き合っている。

顔を選ばない、フィッティング

一山シリーズでは、フィッティングそのものも緻密に設計されている。

テンプル(つる)の剛性とバランスを綿密に計算し、ブリッジ部には十分な厚みと高さをもたせることで、逆反りを未然に防ぐ。
その結果生まれたのが、顔幅や鼻骨の形状に左右されにくい、安定した掛け心地だ。

一山は本来、鼻のかたちにフィットが大きく左右される、扱いの難しい構造として知られる。
それを『さまざまな顔に安定してなじむ』レベルにまで引き上げているところに、職人としての設計力が表れている。

クラシックな見た目の内側に、現代的な快適性が宿っているのだ。

「安全式」という、補強の知恵

逆反りへの答えのひとつが、『安全式』と呼ばれる補強機構だ。

リム(レンズを囲む枠)の背面に、メタルプレートを挿入する。
これにより、反りに対する耐性を高めると同時に、リムとレンズの間にかかる応力を効果的に分散させる。

つまり、見えない場所に一枚の金属を忍ばせることで、フレーム全体の強度と、レンズの安定性を同時に引き上げているのだ。
表からは決して見えない。けれど、長く使う人のためにこそ、こうした地道な工夫が効いてくる。
派手さではなく、誠実さで応える

——それが丹羽雅彦の流儀だ。

[PHOTO: 一山ブリッジ・安全式構造のディテール]

ネジ形状という、長く付き合うための工夫

もう一つ、見逃せない新開発がある。

メタルとモダン(アセテート)の接合部分——『小口(こぐち)』を、あえて“ネジ形状”にする構造だ。
金属とアセテートを噛み合わせることで、長期使用によって生じがちな両者の隙間を防ぐ。

眼鏡は、何年もかけ続けるうちに、異なる素材の継ぎ目がわずかに緩み、隙間が生まれてしまうことがある。
丹羽雅彦は、その経年の弱点にまで先回りして手を打っている。

買ったときの美しさを、できるだけ長く保つために。
静かな佇まいの裏側には、これだけの技術と心配りが積み重ねられている。

静けさの中に、技を込めて

流行を追わず、静けさを選ぶ。

けれど、その静けさは、何もしないことではない。
逆反りへの補強、顔を選ばないフィッティング、経年劣化を防ぐ接合——目に見えないところにこそ、技術と配慮が宿っている。「丹羽雅彦」とは、鯖江の職人が、静けさの中に技を込めて仕上げる、クラシックの極み。

その価値は、派手に語られることはない。
けれど、長く付き合うほどに、静かに、確かに効いてくる。

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